4月2日に行われたONLINE学習交流企画ーマルクス『資本論』で読み解く資本主義の第4回目のテーマは、「格差と貧困を生む本当の仕組みー剰余価値理論」でした。
この社会(資本主義)においてどのような仕組みで労働者が搾取されるのか、資本は利潤をあげるのかを、マルクスの剰余価値学説をつかって紹介。今回も、日本共産党富山県書記長の坂本洋史さんが話題提供しました。

その秘密は、結論からいうと、労働力という特殊な商品にあるということです。
資本家が生産をする際、元手資金をつかって投資し、市場から原材料などの生産手段と、労働力という商品を買い求めます。その二つの商品を結合させて、新たな商品を生み出します。(労働力の販売とは、時間ぎめで労働力の使用権を資本家に与えるという行為です。8時間労働なら、8時間にかぎって自分が資本家のもとで働くことと引き換えに賃金をもらいますということです)
今回は例として、パン製造会社が100万円の投資をする場合を考えました。原材料に90万円、労働力に10万円をかけて商品を市場から購入し、この二つを結合させて新商品(パン)が生まれますが、出来上がった製品には110万円分の価値が含まれています。その商品(パン)を市場で販売すれば、110万円の売り上げとなります。
●100万円の投資→●生産によって110万円分の価値をもつ新商品が生まれ→●市場で110万円で販売する=資本家のもうけは差額の10万円です。
この生産過程(赤い文字の部分)の中で、労働によって労働力の価値=10万円の価値を超えて20万円の価値を生み出すのですが、一方90万円の原材料はそのまま90万円の価値を新たに生産されたパンへ価値が移転するだけです。
マルクスは以上のような価値増殖の仕組みを、「剰余価値の生産」と呼びました。マルクスが発見した「剰余価値」の理論です。
労働力というのは特殊な商品で、上記の生産過程(赤い部分)で不思議な動きをします。
労働力の使用価値=労働力を使用することで得られる効果は、「労働力の価値を超えて、新たな価値を生み出す」というものです。今回のパン製造会社の例では、10万円の労働力(1万円の賃金の労働者が10人雇われている)が、1日の働きで20万円の価値を生み出すのです。
ここで大事な点は、労働者に対しては、労働力の価値どおりに賃金が支払われていたとしても、剰余価値を生み出しているということ。
参加した皆さんから、質問が出されました。時給が1000円とか、800円とかどういう理由できまるのか。愛知から引っ越してきて富山の最低賃金が低かったのだが、地域によって賃金が違うのはなぜか。また全国一律最低賃金を求める運動があるがなぜそうした要求がなされているのだろうか。同一労働同一賃金をなぜ要求するのか、などなど。
賃金の決まり方は、生計費原則といって、その労働者が十分に生きていけるだけの生活費(衣食住)ををもとに算出しています。だから、時給1円とか10円とかあり得ないし、逆に時給10万円とか時給100万円とかもあり得ないのです。「その社会で人間として普通に暮らすために必要な経費はどのくらいか」で労働力の価値(賃金額)が決まるのです。
文化水準の高い地域や国柄にあっては、文化・芸術にかける出費も多いでしょう。地域のお祭りや慣行などで出費が多い少ないなどもあります。地方では車がないと生活ができないので、生計費に占める自動車維持費はかなり大きいですね。田舎なら長靴でジャージ姿で買い物にでかけても全く問題にならないのに、都会では近所に外出するにも、通勤するにもおしゃれが必要で被服費はバカにならないでしょう。田舎の土地は安いが都会は高い。そういう様々な事情から生計費は計算されるので、地方によっても国によっても労働力の価値の高低に違いがあるのです。
参加された学生さんからは、「『時給●●円』と決められているから賃金額がきまるのではなくて、生計費を根拠に賃金が決まるのだという話は新鮮でした」との感想が寄せられました。
地方からの人口流出と地方の社会のあり方についての質問も寄せられました。坂本さんからは、地方での産業がきちんと成り立つよう政策を実行することが求められていて、とりわけ地域の経済と環境保全の土台になるはずの農業が、国のいい加減な農政によってことごとく破壊されてきたことが、地方の衰退、人口流出を招いていることを指摘されました。農業は儲かる・儲からないというレベルの話で考えるような産業ではなく、公共事業というくらいの位置付けで国の根幹をなす産業として据えなければなりません。日本共産党は「農業を基幹産業にすべき」と綱領でも明確にしています。


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